SUS部員塾17期第4回講義レポート

株式会社オルタナは7月14日に「サステナビリティ部員塾」17期第4回目をオンラインで開催しました。当日の模様は下記の通りです。なお次回(17期第5回=2021年8月25日)もオンライン形式で開催します。17期のカリキュラムはこちら

①事例研究2「サプライチェーンのリスク問題①」
時間: 10:30~12:00
講師: 下田屋 毅(Sustainavision Ltd. 代表取締役)

下田屋 毅氏(Sustainavision Ltd. 代表取締役)

企業にとってサプライチェーンにおける「グリーン調達」から「CSR/サステナビリティ調達」が一層求められ、環境だけでなく人権や労働、安全衛生などにも配慮した調達であることが重要だ。

ILO(国際労働機関)によると、4030万人が「現代奴隷」の環境で働いている。現代奴隷とは児童労働、強制労働、難民による労働などを指し、そのいずれもが過酷な労働環境にある。どの国で人権侵害が高いかデューディリジェンスを実施する必要がある。そのなかの児童労働については、2000年からILOとユニセフが調査をしているが、2016年以降は増加に転じている。コロナウイルスの危機により今後さらに増加する可能性がある。

日本の外国人技能実習制度も現代奴隷的だとの批判がある。人権に取り組む上で、ステークホルダーからの声は大切だ。ただ企業との関係としては遠く、権利を持っているのに声を出せていない人への影響を考慮に入れる必要がある。

②企業事例5:日本マクドナルド
時間: 13:15~14:45
講師:岩井 正人(日本マクドナルド株式会社 CSR部マネージャー)

岩井 正人氏(日本マクドナルド株式会社 CSR部マネージャー)

今マクドナルドではSDGsの4つのカテゴリーと6つの目標に取り組んでいる。

当社は、サステナビリティの取り組みや認証制度についてはトレイマットやアプリでの表示を進めている。認証マークは高校生など学生がよく知っている。彼らは生まれた時から環境問題のなかで暮らしており、彼らは5~10年後に次の購買層、労働力になる。これは重要なことだ。一方、特に40~50代では認知が低く、若い人たちとは対照的だ。

食品ロス削減の取り組みとしては、多様なサイズのメニュー構成にし、顧客が残さずにすむようにしている。以前、厨房では商品を作り置きにし10分で廃棄していたが、2001年に厨房オーダーメイドシステムを導入したことで、廃棄は半減した。

2018年から開始したハッピーセットのおもちゃの回収は、日本が初めて行った取り組み。2020年270万個と順調で2021年からは通年回収をスタートした。多くの素材が混ざると、リサイクルしづらくなることを知った。

環境によい、社会によい、どちらかだけの取り組みはいくらでもあるが、企業であるから経済としても貢献できることが大切だ。

ドナルド・マクドナルド・ハウスという長期入院の子どもとその家族が利用できる施設を運営している。病気の子どもと抱える家族の負担は費用面でも時間面もとても大きく、施設は同様の境遇のお子さんのご家族同士、同じ悩みを本音で話せる場にもなっている。今11か所あるが、日本海側にもう一カ所ほしい。

③WS(自社のアウトサイドイン表現①)
時間: 15:00~16:30
講師: 森 摂(株式会社オルタナ 代表取締役 オルタナ編集長)


前回、2回に分けて取り組んだアウトサイドインのグループワークの結果を、今回各チームより発表しました。

④企業事例6:ネスレ日本
時間: 16:45~18:15
講師:嘉納 未來(ネスレ日本株式会社 執行役員コーポレートアフェアーズ統括部長)

嘉納 未來氏(ネスレ日本株式会社 執行役員コーポレートアフェアーズ統括部長)

ネスレは1866年の創業。ドイツ出身のアンリ・ネスレが創業者で、当時は欧州でも乳幼児の4人に1人が死亡していた状況のなか、栄養価が高い製品で乳児の死亡率を下げようと努力した。時代は流れたが、未だに途上国では乳幼児の死亡率は高く、そのような困難な状況でもコミットメントを遂行するのがネスレのパーパスだ。

大切にしている価値観は自分、他者、多様性、未来への「敬意」。スイスは小国だったため早くから世界に進出し各国で100年以上の歴史があるが、食はローカルなもので、現地の食文化や消費者の好み、栄養ニーズ、食習慣まで合わせて製品を提供している。現地法人が現地を深く理解し、粉か瓶か缶などまで決める。ネスカフェだけでも世界で200種類くらいはある。

日本法人は1913年に設立した。グループ内ではイノベーティブで実験的な取り組みができる場所の位置づけだ。キットカットでは機能的な価値のみならず「キットカット」→「きっと勝つよ」につなげ、受験生や頑張る人を応援する情緒的なキャンペーンも行う。また海洋プラスチックごみ問題への解決策として、大袋を紙に代替している。

CSV(共通価値の創造)の概念は伝えることが大切で、メディアリレーションも重要になっている。トップからの長期的なメッセージは一貫性があり、社員がそのメッセージを受け止め、顧客の課題解決につなげられるような「自分ごと化」が求められている。コロナ禍で社会課題起点のいいボトムアップが生まれている。

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