SUS部員塾17期第3回講義レポート

株式会社オルタナは6月16日に「サステナビリティ部員塾」17期第3回目をオンラインで開催しました。当日の模様は下記の通りです。なお次回(17期第4回=2021年7月14日)もオンライン形式で開催します。17期のカリキュラムはこちら

①企業事例3:ヤフー
時間:10:30~12:00
講師:西田 修一(ヤフー株式会社 執行役員 SR推進統括本部長)

「Yahoo! JAPAN」のトップページを担当していた東日本大震災の日、何をすべきか混乱したまま会社に泊まるという心残りな経験をした。2013年に復興支援キャンペーン「Search for 3.11 検索は応援になる」や、検索で一年を振り返るイベント「検索大賞」を立ち上げた。検索を通じて社会を良くしたい。

社会的責任(CSR)を「社会を含むステークホルダーに負わせるリスクを低減する活動」、一方で社会貢献を「持てる資産や価値を社会に還元し貢献する活動」と大きく二つの概念に分けている、重要なのはどちらか一方だけではないということだ。

価値創造の領域では、事業化できることは理想だが、事業化できなくても公器(プラットフォーム)としてやるべきこともある。例えば検索関連では「死にたい」という検索に、厚労省などの相談窓口、病気関連の検索には間違いのない情報を提供するサイトを案内するなどしている。天気・災害情報では大災害時に災害情報を出しているが、これは事業で収益を得ているからこそ投資できる事例だ。

「正義の鎧を纏わない」ことにも留意している。事業部門は日々数値目標に取り組んでいる。再エネをやるとして、例えばコストで5億円かかり利益率5%なら100億稼ぐことが必要だ。

②脱炭素社会に向けた国際的な動向と国際イニシアティブ
時間:13:15~14:45
講師:池原 庸介 (公益財団法人世界自然保護基金ジャパン(WWFジャパン)気候・エネルギーグループグループ長)

2020年はコロナ禍で世界のCO2排出量は6%減少した。だが油断は禁物だ、2008年のリーマンショック時も一時的に大きく減ったが、すぐにリバウンドしている。これに関してはIEA(国際燃料機関)のピロル事務局長も「今後はクリーンエネルギーを中心にした経済回復が必要」とコメント。IEAは化石燃料寄りの機関なので、驚くべき発言だ。

欧州では2020年4月に「欧州リカバリー連合」、米国でも全米300以上で気候重視の宣言が出された。CDPやAIGCCなど投資家からもサステナブルリカバリーを求める声があがるほか、先のIEAでも21~23年の3年間で3兆ドルをグリーンリカバリーに投資するなど動きが活発だが、21年のCO2排出はすでに増加の兆しだ。

国際会議の動向としては2015年にパリ協定が成立した。当時は2℃未満、できれば1.5℃とし、今世紀後半には実質ゼロにする目標だった。その後2018年の国連機構変動政府間パネル(IPCC)を経て、議論は2℃から1.5℃に急速にシフトした。

日本も世界から1年半ほど遅れ、昨年10月にカーボンゼロを宣言。2020年3月に日本は26%という低い目標で世界から批判を浴びたが、バイデンの気候サミットで46%に目標を引き上げた。他の国々もバイデンサミットを機に続々と目標を引き上げたが、全て達成すれば2100年の気温上昇は2℃代に収まるとされている。

③WS(SDGsアウトサイドイン➁)
時間:15:00~16:30
講師:森 摂(株式会社オルタナ 代表取締役「オルタナ」編集長)

前回のWS「SDGsアウトサイドイン➀」では、SDGs×SWOT分析チェックシートで、各グループのパイロット企業の事業で「機会」となるSDGsのゴールを、1つずつ選択しました。

今回の「SDGsアウトサイドイン➁」では、課題解決に役立ちそうな自社の資産をパイロット企業が洗い出し、ブレストシートを用いて、社会課題の解決を起点としたビジネスアプローチについて、アイディアを出し合いました。

➃企業事例4:ユニリーバ 
時間:16:45~18:15
講師: 伊藤 征慶(ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス株式会社 ヘッド オブ コミュニケーション)

1880年代、子どもの半分が5歳を迎えられない衛生状態のなか、創業者が「清潔を暮らしのあたりまえに」を目的にリーバブラザーズという会社を設立したのが前身だ。

2010年、世界は気候変動、格差など多くの社会課題を抱える。誰もが豊かに暮らし、企業が成長し続ける方法を模索しようと、会社のパーパスを「サステナビリティを暮らしのあたりまえに」に見直した。その柱がサステナブル・リビング・プラン(SLP)で①10億人以上のすこやかな暮らし(衛生・健康、食)②製品ライフサイクルの環境負荷を半減(GHG、水、廃棄物、持続可能な調達)③数百万人の経済発展を支援(人権・労働者の権利、女性のための機会、包括的なビジネス)に取り組んだ。

ブランドにもパーパスを持つものがあり、社会への気付きを発信していきたい。たとえばLUXではLUX Social Damage Care Projectとして、採用時に履歴書の顔写真やファーストネームなど性別を知り得る要素を排除した。パーパスを持つブランドはそうでないブランドに比べて69%成長が早い。

2021年からは新事業戦略「ユニリーバ・コンパス」を開始。6月からボトルリサイクルプロジェクト(花王と協働)や、リフィル(量り売り)ステーションの設置などを始め、新たな当たり前を目指している。

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